製作:森 さとし

今回は新し目なキット、wave PS版ベルゼルガっす。私的には待ち焦がれたキットなんです。タカラのキットはアレなモンでしたし、プラキットと言う括りではベストな仕様で、名作キットと言えるっす♫waveさんの気概を感じます。この調子で、せめてTV版ATをコンプリートして頂きたいっす♫プロポーション、ギミックに手を加え無くてイイと言うのは何よりっす♫

で、今回、何故新作キットに手を付けたかと言うと…ウチの、リモートレッスン1号の20代の生徒さんが、ベルゼルガを作ると言うので、私の手持ちキットで解説してたら、私のハートに火が付いてしまいまして…(^_^;)まぁイイや、勢いで作っちゃえ的に作りだしたら、コクピットの作り込み、リベット 付け替え、フィギュアのディテール彫直し…と、いつもの様にMotörheadの様に暴走し出して…(-.-;)y-~~~大好きなATだからしゃあないっすね…

基本的にはストレート組みっす。コクピットの作り込み、フィギュアのディテール彫直し、リベット 打ち直し、面出しくらいしかしてないっす。ただ、生徒さんに教えながら…なので、リベット 以外には瞬間接着剤は使わず、溶剤系流し込み接着剤しか使って無いっす。

で、ウチの他の生徒さんからのリクエストもあり、工作から詳細の解説が欲しい…と言う事で、長くなりますが、お付き合い下さい♫

まず、初歩的な事ですが、waveなど、新興プラモメーカー全体に言える事ですが、パーツの合いがちょと良くない、スナップフィットが多少ユルい、エッジ、逆エッジ、モールドが甘い…と言う傾向があります。waveさんは良い方ですが、それでも上画像の様にかなりヒケ、段差、合わせ目等にパテが必要っす。特に貼り合わせは段差が目立ち、ヒケも割と深いっす。こう言う箇所は、瞬着パテでは硬く、初心者、中級者では瞬着パテでは削り切れず、塗装時にパテの後が浮き出る事が往々にしてあるので、削り易いラッカーパテがイイですが、硬化が遅い…

そこで、ウチの教室特製ラッカーパテが大活躍っす♫薄付けなら、15分ほどでペーパー掛けが出来、ヒケ止まりが早く、塗装時のシンナーの吸い込みがほとんど無いので、トラブルが有りません。キメも細かく、微細なヒケ、キズ、段差もしっかり消せて、エッジ出しにも使えるほど食い付きもイイです。1/35フィギュアの鼻を高くする位の造形にも使えます。当HP内直営店で販売中っす♫

面出し、エッジ出しは最重要と言っても過言ではありません。この作業により格段に完成度、精密度が上がります。新興メーカーのキットには必須と言ってイイほどっす。この様に全体が満遍なく白っぽくなればOKっす。ペーパーが当たって無い所はヒケや段差なので、ラッカーパテで埋めます。

因みに、使っている工具はこんなモンです。工作のコツとしては、説明書の順番で作らない、ひとつの工程はなるべくまとめて…接着、パテ盛り…と言った具合っす♫

先ずは張り合わせから。後でつなぎ目を消すパーツを優先的に組み、接着剤を流し込み、さらにパテ盛りしてしまいます。速乾タイプなら、翌日にはバッチリ固まります。

貼り合わせが終わったらヒケにパテを盛ってしまい、硬化した所からペーパー掛けっす。

私は基本的にはペーパー掛けに400番はあまり使いません。たまに600番は使いますが、ほとんど320番一発で済ませます。コツが必要ですが、非常にペーパー掛けが早く終わるのと、エッジがシャープに出せます。詳細は当教室のリアル、リモートレッスンで…

で、このキットのウィークポイントの一つですが、フィギュアの露骨な肉抜き…見えにくい所ですが、見る角度によって見えるので”全く見えない所”以外は埋めてしまいます。背中上部はタミヤ速乾エポキシパテ、後頭部はプラ丸棒、腿裏は余りのランナーを削って接着剤を流し込み、後頭部は5mmプラ棒を鉛筆削りで削って差込み、流し込み接着剤で接着。硬化後に整形っす。気分的にパイルバンカーのパイルも同様に埋めてます。パイル先端は整形時にとんがらせます。パイルバンカーでヤられたら痛そうに♫パイル部のみ4000番まで磨いてます。塗装仕上げの事を考えて…

こんな感じっす。

因みに上画像はコクピットの作り込み後です。1/35装備品や小火器セット、ジャンクパーツなどを多用してます。同スケールの物は、消火器は消火器、酸素ボンベは酸素ボンベ…と言う様に使えるので、”用途を考えての作り込み”に重宝します。スケールの違う物でも、ディテールの混んだメカ部パーツは重宝します♫STAR WARSメカ造型のノウハウっす♫

また、リベットですが今回はアドラーズネスト社の丸リベット を使用してます。足つきなので位置決めがピンバイスの穴によってですから、穴が正しく開いていれば容易に済みます。ホントは溶剤系接着剤の使えるシモムラアレック製の方が良いのですが、供給が安定してないので…アドラーズネスト社のは、洋白製なので、塗装後に塗膜を剥がすとイイ感じにギラつくし、サイズも豊富で使いやすいっす♫供給も割と安定してます♫

リベット のモールドの頭に当たりを付けてからピンバイスで穴を開けて、それからリベットのモールドを削り落として、”リベットの足”にゼリー状の瞬着を付け、差し込んでやればOKっす。ゼリー状瞬着は硬化時間が長めで、タレたり流れたりしないので、こう言った作業、エッチング パーツ等に重宝します。

一通り工作が終わったら、上画像位にバラして、塗装準備に入ります。クリアパーツはランナーに付いたまま塗装します。支持棒は市販の物、割り箸で自作した物をつかいます。ホビーベースの支持棒、割り箸支持棒は太さが丁度良く、パーツを回しながらの塗装に使い易さ抜群っす♫

まず、コクピット内部から塗装です。後ほど外装塗装時にハッチを閉めて一気に塗れるので…まず、内部全体をガイアカラーのジャーマングレーで塗ります。サーフェイサーは吹きません。その後、内壁の色、ガイアボトムズ カラーのブルーグレー辺りが妥当でしょう。を吹いて、後ほど、鬼の様なマスキングでコクピット各部の塗装をします。

こんな感じでマスキングしてます。シート、細部塗膜と、コクピットの基本塗装が終わるまで、ほぼ一週間は掛かっています。一般のマスキングに慣れてない方だと、約3倍程の時間が掛かるでしょう…((((;゚Д゚)))))))

とりあえず、外装の下色、ガイアカラージャーマングレーを吹いた状態っす♫何故ガイアカラージャーマングレーかは当教室のレッスンにて…サーフェイサーは吹きませんが、リベット部だけメタルプライマー 、マルチプライマー などを吹き忘れない様に…

上画像はマスキングの極一例っす。他の金色部も含めてマスキングだけで丸3日間掛かっています。腰アーマー、アーマー裏もマスキングしているし、剥がし液を吹いてる部分はマスキングがしづらいので…

ジャーマングレーの後、ガイアカラーのEXシルバーとオキサイドレッドを”超ムラムラ”に吹きます。吹き加減が大事ですが、基本的には薄く吹きます。ジャーマングレー同様に無理に均等に吹く必要も無く、きちんと発色させる必要もありません。とりあえず塗料が乗っかっていればOKっす♫

クリアパーツの塗装っす。塗装開始時には塗っておきます。蛍光塗料は乾きが遅いので、あらかじめ塗っておけば、完全乾燥後に組み立てられます。また、ランナーに付いたまま塗装しても、ゴッドハンドのアルティメットニッパーなら、切りっぱなし、ゲート処理がいらないっす。パーツの紛失も防げます♫塗装はパーツ裏面から、蛍光グリーンは薄めにふきます。カメラ内部が透けて見える様に…

使用塗料はガイアカラーの蛍光イエローグリーンと、蛍光レッドです。最大の理由は、白が混ざって無くクリアなので、吹き加減で好みに調節出来るので…

上画像は、基本塗装終了した状態っす♫

EXシルバー、オキサイドレッドを吹いてから、先ずはAKインタラクティブの剥がれ表現液を吹き、食卓塩を振りかけます。剥がれ液は吹き過ぎると剥がれ過ぎてしまうので、加減が必要です。塩もパラパラとやらないと掛かりすぎに…瓶直はNGっす。

ここから本体色です。ガイアカラーのボトムズ カラー、ダグラム カラーをガイアノーツHPのボトムズ特集ページ参照で塗ってます。が、アニメ設定に忠実なので、立体物に塗ると、暗めになりがちです。特にダークバイオレットはバランスが難しい色です。暗すぎても黒々としてしまいやすく、明るすぎても違うイメージになってしまうので、白を混ぜて明るくするのですが、試行錯誤が必要かと…特に私の様にフィルタリング塗装する場合は余計に難しいです。ライトグレーも暗いので明る目に…

今回、金色に塗った所はボトムズ カラーでは黄土色に近い”アンバー”と言う色ですが、イメージ優先で金色にしてます。そっちの方が装飾部っぽいし、劇中のイメージもそうなので…で、金色はガイアカラーのエルドランゴールドの上にクリアーブラックを上掛けして、”アンバー”に色調を合わせてます。エルドランゴールドは非常に良く輝く”青金”なので、若干輝きを抑える感じっす。

関節色はボトムズに象徴的な”ブルーグレー”で統一してあります。他の色だと、ATっぽくないので…

ライフルは、設定の配色イメージを壊さない程度に遊んでます。弾倉はスコープドッグと同じ”ブルーグレー”にしてます。バレル部はジャーマングレー下地に雲母堂本舗のビスマスパールを塗って、雲母堂のパールカッパーとガイアカラープライマリーメタリックブルーで焼け表現をしてます。銃口はガイアカラーのエナメルすす色のドライブラシっす。

基本塗装を終えたら、wave製のデカールを貼り、よく乾かしてから、水を浸した歯ブラシで擦ってやります。塩、剥がし液の効果で塗膜が剥がれ、下色が顔を覗かせます。剥がし過ぎ要注意っす。あと、剥がす場所も考えないと、無残な事になります。(^_^;)特にスコープ周りは剥がし厳禁で…ATは顔が命っす♫

で、フィルタリングっす♫今回使ったのは、アブタイルンクの油彩で、茶色、グレー、白を混ぜて”紫味が飛んでしまわない色を作ります。ポイントは、白、グレー多め、茶色チョッピリっす。茶色は引き立て役に重要っす♫油彩をオドレスターペンタインでしゃぶしゃぶに溶いて平筆で薄く塗ります。エナメル塗料でやらないのは、プラが劣化して割れるからっす。それでもエナメル溶剤同様にジャブジャブはやりません。薄く撫でる様にっす♫まぁ、紫って難しいっす。結構試行錯誤したっす。紫の戦闘兵器なんて無いし…

フィルタリングすると、こんな感じっす♫茶色がほんのり入る事で紫をより紫に見せる効果が生まれます♫グレー、白だけではトーンが落ちて黒ずんでしまったり、白が多いと、ボヤけてしまいます。

次はストレーキングっす。グレー系、白系、茶系の色を使います。AKインタラクティブのストレーキング用のラスト系、グライム系、レインマークを使ってます。コツは水垢、雨垂れ、サビ垂れ等のディテールを入れるイメージっす。ボヤけ加減、かすれ加減が大事っす。ボヤけ、かすれには油彩用のオドレスターペンタインでやります。エナメル塗料ですが、油彩用の溶剤も使えますので…エナメル溶剤だと、強くて消えすぎてしまうし、プラを劣化させてしまうので…スナップフィットのキットは余計に割れやすいので、ターペンタインの方が安心ですねェ…

こちらは基本塗装の終わったルシャッコ。ここまでは全てマスキングで塗ってます。全てラッカー塗料ですが、この時点である程度グラデーションを掛けてます。

こちらが、リタッチ、細部塗装後に細部の印影を入れて、ガイアのつや消しクリアでしっとりマットに仕上げた状態っす。

ストレーキングを終えたら、細部のエイジング塗装っす。

足元は、AKインタラクティブのエナメルのデポジットの茶系、緑系を使いクメン王国の密林を駆けずり回って来たことを演出。イメージとしては、サンサ編直前、ルシャッコが最後にベルゼルガWPを駆る姿が目撃された頃…的な感じっす。ウェザリング、エイジング塗装は、使用状況下が明確な程、演出や方向性がはっきり見えて来るので、リサーチ、作品観察、自然環境の考察などは是非やっておきたい所っす。いくらアニメ作品と言えど、現実世界の事象をトレースする事によって、説得力が増す物っす。

コクピット内部は、こだわりポイントであると同時に、遊び要素満載っす♫せっかく密度感を高めるべく作り込みをしたので、塗り分けも出来る限り細々とした事により、ディテールの機能、説得力が高まる様にしてます。また、箇所によっては質感を変えて…と言う事も大事っす。ただゴチャつかせるのでは無く必然性のありそうなゴチャ感が必要っす♫

ハッチ裏面もしっかり塗り分けする事により”ただのディテール”から、”機能性を感じるディテール”へ…ただ作り込みだけで無く、ディテールの塗り分け、色の選択も説得力の要因になるので、安易にグレー一色…は勿体ないっす♫もうちょっと遊んでも良かったかな?このテキスト書いてる時にアイディアが…まぁ、次回に♫

また、細部塗装についても、”見る人がイメージし易い”色を選択する事も大事っす。酸素ボンベは緑、消火器、コック類は赤、バルブは真鍮色、座席は茶色…普段からの”観察眼”がモノ言う部分っす♫細かい事だけど、”模型の神様は細部に宿る”モノっす。積み重ねっす♫

ちゃんと降着出来るのが嬉しいっす♫ATは降着出来てコクピットがあって、フィギュアが乗る…が楽しいんですから…

また、こだわりポイントであるカメラ部分はしっかり仕上げたい所っす。せっかくクリアパーツなんです。カメラ内部モールドも有るんですから、ちゃんと透けて見える様にクリアパーツを塗り、内部も、塗り分け、奥行き、機能性が感じられる様にしたい所っす。内部の塗り分け、スミ入れしてからパーツをはめ込んでます♫また、HIQパーツの丸マスキングシートをフル活用してバイザー、カメラ内部を塗り分けてます♫

伝統工芸級のマスキングの集大成っす。これぞマスキング塗装の醍醐味っす♫クソ大変ですが、決まった時の喜び、マスキングを剥がした時の歓喜の瞬間、

“我こそマスKING(王様)なり‼︎”

心で誇らしげに叫ぶのです♫イイんです♫誰も褒めちゃくれないっすから…自分で自分を大いに讃えましょう!

あ、パイルは下色にEXシルバーを吹いてから、プレミアムミラークロームで塗ってます。ヤられたら痛そう…Thrasherの帝王、Slayer的なアプローチっすね♫を目指してます♫

後はこすって銀さん等でお化粧して完成っす♫ここまででひと月半か…片手間でだから上出来っす♫ベルゼルガWPも決着付けられたかな…後はTV版AT同スケールでコンプリート、どうでしょう?waveさん、ブルタコもラウンドムーバーもパラシュートザックも…バックスやパープルベアは難しい?かなぁ…