マスキングと言うと、敬遠される方は多いと思います。とってもよく分かります。かなり苦痛な作業です。ただ、苦痛を乗り越えて上手く行った時、至福のひと時を味わう事が出来るのも事実です。しかし、マスキングについて丁寧に解説している本やサイトは皆無です。そもそも、最近のガンプラなどはマスキングしなくても塗装出来るものも多いです。しかし、ワンランク上の塗装を考えた時、避けて通れない事も事実です。

私自身もいつも自身を鼓舞しながらやってます。

“俺は模型業界のマスキング(King=王)だ”みたいに…塗装作業の95%はマスキングの作業みたいと言う腹の括り方がまず重要です。で、相当時間が掛かると覚悟する事が大切です。脅している様ですが、事実なんで…

まず、少しでも楽に作業出来るように、工夫が必要です。と言う事で資材、工具を知る事から始める事をオススメします。模型用マスキング資材として売られているモノでも、意外にも不向きなモノも有ります。ですから、私が普段使ってる資材、工具類を紹介しながらどの様なモノを選んだ方がイイか、紹介していきます。

まずはマスキングテープ。こちらはオーソドックスに3Mのモノです。タミヤ のマスキングテープは3MのOEMなんで、どちらでもOKですが、3Mの方が圧倒的にコスパが良いので、長い目で見てまとめ買い…と言う事も考慮しても良いかもしれません。タミヤ の6mm幅と3Mの物と比べても、三倍程値段が違います。しかし、20巻まとめて買うことになるので、長く製作しないと、無駄が多くなってしまいます。ウチの教室ではよく生徒さんに差し上げてます。特別高いマスキングテープは必要ないです。ビニール製のマスキングテープも有りますが、テープの厚みが分厚いので、塗り際に使い辛いので、模型製作にはほとんど使い所がありません。また、紙マスキングテープは繊維方向が縦方向に有りますので、カットしたり、密着させる時に工夫が必要です。

また、マスキングテープを揃える上で、太さを色々揃えると良いです。ウチでは6mm、10mm、16mm、32mm、50mmを揃えてますがよく使う太さは6mm、10mm、16mmですから、この3種有れば何とかなります。

この黄色のマスキングテープ、塗り際にも使い易い厚さでもあり、密着の確認もし易く、カットもしやすい、剥がしやすい粘着力と非常に優秀です。

ですが、直線の塗り分けラインをマスキングするには向いてるのですが、曲線や丸には向いていません。では、どの様にマスキングしているのかと言うと、なん通りか方法があります。

アイズプロジェクトの細マスキングテープです。幾多のメーカーさんから、曲線用マスキングテープが販売されてますが、あまり使えない物が多いです。紙製の曲線用マスキングテープはしわしわ状の紙がテープになっているので、マスキング漏れしやすいのです。密着させ辛いと言う感じです。ビニール製のテープは確かに曲がりますが、テープそのものの厚みが厚すぎるので、塗り分けラインに段差が出来易いのと、コスパが若干悪いです。と言う理由で全く使わないです。

アイズプロジェクトの細マスキングテープも太さによっては曲げ辛いです。非常に厚さが薄く、塗り分けラインの段差が出来辛いですが、1mm、2mmとかはあんまり曲りません。0.7mmと言う太さだと、ある程度曲ります。その上、ある程度太さがあり、上からマスキングテープを重ねて貼り易いので、ウチでは常備してます。ただ、曲率がきつくなると曲りません。その場合には0.4mm幅のテープを使いますが、非常に貼り辛いです。薄いのでよじれ易いのです。粘着面が分からなくなる事もしばしばです。

そう言う場合は太目の3Mのマスキングテープを必要な長さに切って曲率の近いラインでカットしてから、強引に合わせて貼るか、テープに切り込みを入れて曲げます。テープにシワが出来ると、そこから塗料が漏れてしまいます。アクリル系塗料やエナメル系塗料では速攻で漏れます。後にも述べますが、シワの出来る所でナイフでカットするのがコツです。大抵の曲率は上記の方法で何とかなります。

それよりキツい曲率の場合はハイキューパーツより出ている円形マスキングシールを使います。こちらはサイズも豊富にあり、S〜4Lとあるので大抵の曲率に合わせて貼る事が出来る上、非常に薄く、塗膜の段差が出来辛いです。こちらを使い易い感じにカットして使ったりします。昔は皮革用のポンチで円形はカットしたのですが、径が大きめの円形は抜くコツがあったり、手間が掛かったのでレーザーカットされた物は非常に便利です。また、零戦の日の丸くらいの円形は、サークルカッターを使うと良いでしょう。ただ、コンパス型のサークルカッターは径によってカットし辛いので避けた方が良いでしょう。

今まで円形、曲線について論じて来ましたが、特定の角度にカットする場合(ほとんどありませんが)

こういった定規を使う場合もあります。

次にホルダーについてですが、タミヤのマスキングテープホルダーは使い辛いので、使ってません。ダイソーのマスキングテープホルダーが一番使い易いです。こちらに6mm、10mm、16mm、32mm、0.4mm、0.7mmと良く使うテープをまとめて入れてあります。テープカッター(ギザギザの所)は全く使わないです。ギザギザはマスキングには不用なので…タミヤ のホルダーは個別なので、まとまっている方が便利なのと、細マスキングテープホルダーはないので…テープを交換し辛いのがたまに傷ですが…ホルダーはマスキングテープの横面にほこり、ゴミが付かない様にする為に必ず必要です。ダイソーのマスキングテープホルダーは¥100と安価で良いです。

デザインナイフです。カットする際に必要です。ただ、マスキングの事を考えるならオルファリミテッドAKのデザインナイフが超オススメです。このデザインナイフは安価な物と違い、金属製の本体で、プラスチック製の物と違い本体が重たいのです。マスキングテープをカットする際に若干てテープの繊維が残ってしまう事があります。また、マスキングテープを模型に貼ってから切る場合でも、一発で切る事が重要なのですが、面の状態によっては刃先が若干浮く事があり、軽い本体ではなかなか一発で切れません。ですが

、このリミテッドデザインナイフは本体部分の重さで切れるので大概のマスキングテープは切れます。特にテープを貼ってからカットする場合、力を抜いてカットする必要があるので、力を入れずとも切れるデザインナイフは非常に重宝します。若干お高いですが、数百円高いくらいなので、持ってても価値ありです。

こちらは、ゴッドハンド 製マスパー15ですが、マスキングテープホルダーのカッターはギザギザでカットした所はマスキングに使えないので、ニッパーで切ってしまえば、無駄なく使えるし、短冊状のマスキングテープを量産するのにも最適です。短冊状にマスキングテープをカットする場合、カッティングマットにマスキングテープを一気に長いテープを貼ってカッターで切る方が多いですが、カッティングマットから剥がす時に丸まってしまいます。テープにクセがついてしまうワケです。そうなると、精密なマスキングがし辛い感じです。

ただ、このニッパーでなくてもポイントとしては、マスキングテープが”パチン”と切れる精度のニッパーであれば良いワケで、他社製品でもOKです。ゴッドハンドの”マスパー15″は刃が長いので、ちょっと無理をすれば16mmのマスキングテープも切れるので便利です。後、大概テープを切った際に刃にくっついて来るテープがいつも同じ刃にくっついて来るのも便利です。沢山短冊形に切るのには大事なポイントです。

エンジニア PT-13 チタン製ツル首タイプピンセット非常にピンセットはマスキング作業には大切な工具です。必要以上に高価なピンセットでなくともイイです。私が長年試した中では一番良かったモノです。チタン製のピンセットは軽く、また、落とした時に先端が曲がり辛いです。某社の製品は、すぐ曲がってしまいます。先端の太さ模型のスジ彫りの太さに丁度イイです。後、ツル首部分が綺麗に丸く面取りされているので、マスキング作業で重要な”シゴキ”作業に重宝します。また、比較的に安価で実売価格で¥3000程度と言うのも良心的です。

ピンセットは工作で使う事も多い工具です。用途に応じて持っていてもイイです。模型メーカーやブランドで扱っているピンセットはあまり良い物がないので要注意です。模型メーカーやブランドをあまり過信しない方がイイです。また、同じメーカーの製品でも、生産ロットの違いやメーカーの職人さんの出入りによって製品にばらつきがある場合があります。購入時にきちんと精度確認をすることをオススメします。

ピンセットの場合、髪の毛を平たい板の上に置いて、つまみ取れれば概ねOKです。

GOOD SMILE COMPANYのマスクゾルです。昔、他ブランドから出てましたが、グッスマブランドから再登場した物です。ゴム系マスキングゾルで、水溶性です。私は爪楊枝で塗布します。ゴム系マスキングゾルは剥がし易いですが、ナイフでカットする事は出来ません。また、アクリル系塗料の上に塗布すると、色移りしやすいです。使い方としては、マスキングテープの隙間を塗布して埋めたりします。また、塗布するとこんもりとするので、焼け剥がれやサビ剥がれにも使えます。

GISクレオスのゴム系のマスキングゾルです。基本的に上のマスキングゾルと変わりませんが、量が少ないので、あまり使わない方には丁度良いです。しかし、フタに筆がついているので、ゾルが筆について団子になりやすいです。購入時に筆を取ってしまった方がいいでしょう。

ガイアノーツ製マスキングコートRです。パラフィン系の中ではダントツで使い易いです。ゴム系と違いナイフでカット出来るタイプです。また、アクリル系塗料の上からでも色移りしないです。ただ、薄く塗布すると剥がし辛いので要注意です。マスキングテープを貼って剥がしたり、あらかじめ、マスキングテープでリブを付けておくなど工夫しても良いでしょう。水溶性です。

以上が私が普段使用している資材や工具です。細かい使用法等は実践編にて紹介します。質問など有りましたら承ります。

その他資材など

○ティッシュペーパー ○爪楊枝 など